盛夏の時期の料理に、どうしても欲しくなるのが涼味という季節感。同じ料理でもガラスの鉢などに盛り付けるだけで涼しい気分にさせてくれます。新鮮な白身魚の脂をわざわざ水で落として「洗い」にするのも、舌触りを涼しくする工夫のひとつ。お肉も野菜も涼味を添える工夫があれば、減退がちの食欲も取り戻せそうです。
とうもろこしのポタージュ
とうもろこしの実は包丁でカットせず、付け根まで丁寧に手でとります。本当の甘みは、実の付け根の白い部分。たっぷり取れたらヒゲも一緒にローストし、水を適量加えてスープに仕上げていきます。味を整えるのは少々の胡椒で。生クリームも乳脂も加えません。こうすれば、甘さ引き立つポタージュの出来あがりです。
すいかとマグロのタルタル
すいかとマグロの相性の良さをご存知ですか。すいかの甘みがマグロの食感と一緒になってマグロらしさを引き立ててくれます。味わいを広げるためにパッションフルーツの酸味をプラス。淡いすいかのタルタル仕立てのスープが味のまとめ役になっています。
鱧のパスタ
鱧は蒸し焼きにして、その身でだし汁をつくります。だしで加賀キュウリの輪切りを炊き、だし汁でパスタを軽く炒めます。身はあっさりとしてシンプルな味わい。ところがパスタとキュウリはしっかりとした鱧の風味が染み込んでいます。さすが鱧でなければ味わえない、和風パスタに仕上がりました。
桃のコンポートと求肥のヨーグルトジェラート
桃の甘さを引き立てるためにコンポートに、ヨーグルトのジェラートと求肥を重ね合わせてみました。桃の濃厚な甘味とシンプルであっさりしたジェラートの食感が今までにないアンサンブルです。白っぽい組み合わせに赤い彩りを添えるのはエディブルフラワー(食べられる花:金魚草)。桃は冷やさなくても十分に涼やかで甘い。そんな気にさせてくれます。
協力:Restaurant URA
TEXT & Photo:Pain Kitchen. Tetsuro Nanya