今年は寒気の入りが早く、冬の到来が意外に身近に感じます。風花(かざはな)は、晴天に粉雪が舞い散る様子を示す言葉ですが、寒くても風がなくて少し心地いい。12月は、そんな感覚に通じる「初冬の心地よさ」をいっぱい食卓に並べたいものです。
旬の食材1. ごぼう
主な産地:青森、茨城
関西のごぼうは短く、関東のごぼうは細長い。これは栽培される耕土の違いによるようです。晩秋から初冬が旬の長ごぼう(滝川ごぼう)は関東以北が中心。水はけの良い深めの耕地で栽培されるため、しっかりとした真っ黒なごぼうに育ちます。
旬の食材2. あんこう
主な産地:北海道
北海道を含めた日本海側で主に水揚げされるあんこう。お相撲さんのような丸みのある形が特徴で、鱗はなく、歯以外はすべて美味しくいただけます。オスは小さく、メスの方がはるかに大きくなって美味。ビタミン、ミネラルが豊富なあん肝が珍重され、その大きさでお値段も変わります。
旬の食材3. 下仁田ネギ
群馬県の下仁田界隈でしか栽培されない下仁田ネギ。根深ネギの仲間ですが、白根が太く短いのが特徴。特有の甘い風味とトロリとした食感で人気です。種上から収穫期まで15ヶ月もかかり、11月末から12月にしか収穫できません。これぞ、旬のネギですね。
旬の食材4. そば
主な産地:北海道、長野
昼夜の寒暖の差が激しく、水はけの良い畑が美味しいそばを栽培する条件と言われます。日本では縄文時代から実を粉にして食べられていたという穀類で、細く長く切った「そば切り」のような麺食が一般となったのは江戸時代から。熱を加えることで、そば独特の香りや風味が引き立ちます。
旬の食材5. 百合根
主な産地:北海道、岩手
鬼百合や小鬼百合の球根(隣系)で、古くから食用や薬用として利用されてきました。鱗片がたくさん重なった形状から百合(ゆり)の字が当てられたようです。百合根の栽培はとても時間がかかり、球種から育てて畑に植え付けるまでに3年、収穫までにさらに3年。カリウムの豊富さは随一で、旬を楽しむ味覚の奥深さも随一です。
協力:Restaurant URA
TEXT & Photo:Pain Kitchen. Tetsuro Nanya