ひと雨ごとに快適だった気温に冷気が混ざり、冬の足音が聞こえてくる11月。今年は秋の気配を感じる時期がどうも短いようです。ベストシーズンに紅葉狩りは無理でも、ベストな旬の味覚は堪能したい。秋の味覚は豊富で、意外と長いのですから。
旬の食材1. 黒キャベツ
主な産地:イタリア・トスカーナ
実際は濃い緑色のイタリア野菜で、「カーボロネロ」と呼ばれる非球結キャベツ。株の中心から細長い葉を放射線状に伸ばします。日本に入ってくるのは11月頃から春先まで。太い静脈が特徴で煮崩れしにくく、キャベツの甘味が濃い目に感じます。何にでもあうので、いろんな料理の合わせ素材に使われます。
旬の食材2. マコモダケ
主な産地:三重、石川
河川や湖沼の水辺に群生する「マコモ」の肥大した根元部分を「マコモダケ」と言います。日本では日本書紀や万葉集にも記載されているのですが広まらず、最近になってその柔らかな歯ざわりやほのかな甘味、とうもろこしのような香りが好まれ、三重や石川で栽培されるようになりました。中華料理の具材などに珍重され、徐々に需要が高まっています。
旬の食材3. 安納芋
主な産地:鹿児島
種子島の特産品として知られるサツマイモ。表皮が赤いのが特徴で、水分が多く甘さとねっとりとした食感が人気です。じっくりと時間をかけて焼くと糖度が40度前後にもなり、スイーツとして用いられることが非常に多くなりました。
近年は、安納紅、安納こがね、灯籠蜜いもなど、いろんなブランド品種が見られるようになりました。
旬の食材4. 本ししゃも
主な産地:北海道
スーパーに多く並ぶ「ししゃも」はそのほとんどが「カラフトシシャモ」と呼ばれるもので、正式には「カペリン」という魚の幼魚。「本ししゃも」は日本の固有種で全くの別品種。風味も食感も大きく異なります。その柔らかな口当たりは、香ばしさ、味覚の深みを、一度は味わっていただきたいものです。
旬の食材5. ざくろ
主な産地:岐阜
さわやかな甘味と酸味を併せ持ち、独特の食感がユニークなざくろ。果皮が赤く先端が尖っていて、熟すと裂けて実が飛び出すというのが特徴です。最近では日本産ざくろの流通は少なくなり、多くはカリフォルニア産やイラン産。季節になると甘いつぶつ感が欲しくなる人も少なくありません。
旬の食材6. 柿
主な産地:和歌山、奈良
日本の秋に古くから欠かせないのが柿の存在。その種類は実に1,000種類もあるのですが、実際に食べられているのは20種くらいだそうです。「富有はアゴで食べ、次郎は歯で食べ、たねなしは舌で食べる」というのは有名な言葉。それぞれの食感を楽しむという、柿の硬さ実の粘りを表しているようです。
協力:Restaurant URA
TEXT & Photo:Pain Kitchen. Tetsuro Nanya