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パン作りをする人のためのパンキッチン

リーンなパンって、どんなパン?

家庭製パン講師として、自らパン教室を主宰する、さんだ ゆみこさん。ブーランジェリーシェフとの交流も広く、様々な活動されています。さんださんは、「自宅で作るパンのいいところは、自分で選んだ安心の素材で自由に焼き上げたパンを大切な人と食べるひととき。」 と言います。
日々、教室を運営しながら自らも学び、パンに触れる暮らしの中での気づきや、パンを楽しむ皆さんへ伝えたい事を綴っていただきます。アトリエへちょっと立ち寄るような気持ちで、ご覧くださいね。

前回はポピュラーなパンの分類について書きました。この回では、もう少し細分化したリーンなパンの名前やその由来についてご紹介します。

バゲット生地

基本材料(小麦粉、水、酵母、塩)から生地が作られる。バゲットやバタールなど形状や生地量によってその名称も変わる。

バゲット [Baguette]
生地量350g 長さ68cm 「棒」や「杖」という意味。形状が細いため火通りがよい。クラスト部分が多く、パリっとした香ばしい味わいを楽しむパン。

バタール [Batard]
生地量350g 長さ40cm 「中間」という意味。バゲットより太く短く成形するためクラストよりもクラムの割合が多くなるため、クラムのモチっと

フィセル [Ficelle]
生地量150g 長さ40cmほど 「紐」という意味。小型のバゲットのような形。

シャンピニオン [Champignon]
「きのこ」の意味。きのこの形状に似ていて、丸い部分と傘の部分の異なる食感を楽しめる。バゲットのような形。

フォンデュ [Fendu]
「双子」「割れ目」という意味。中央のくぼみがあるのが特徴。

クッペ [Coupe]
「切った」という意味。ラグビー型の形状をしていてクープの切れ目が1本入る。

エピ [Epi]
「麦の穂」の意味。ハサミで深い切れ込みを入れ、穂の形状にし、ちぎり分けて食べられる。

そのほかの生地

パン・ド・カンパーニュ [Pain de campagne]
カンパーニュは「田舎(風)」のという意味。古くからフランス全土で食されてきたパンで、大きく焼かれる。発酵種による酸味が感じられるのも特徴。ライ麦や全粒粉などが入るなど配合は様々。

パン・コンプレ [Pain complet]
コンプレは「完全な」という意味。小麦を丸ごと挽いた全粒粉を主体とした配合で作られる。食物繊維やミネラルが多く含まれ、風味が濃い。

パン・ド・ミ [pain de mie]
ミ(mie)は「中身」のこと。クラストを楽しむバゲットに対しての、クラム(中身)を味わうパン。形状は角、山型、ワンローフなどがある。

ライ麦パン生地

ドイツのライ麦パンとフランスのライ麦パン。製法や使用する発酵種も異なる全く別のもので、呼び名も違います。ドイツではライ麦の栽培が古くから行われライ麦を主原料としたパンが発展し、配合の割合や地域などにより名前が変わります。
ドイツ語でロッゲン(Roggen)はライ麦、ヴァイツェン(Weizen)は小麦、ミッシュ(Mischbrot)は混ぜる、ブロート(Brot)はパン。

▼ドイツのライ麦パン
ロッゲンブロート ライ麦90%以上
ロッゲンミッシュブロート ライ麦を50%~90%含むパン
ヴァイツェンミッシュブロート 小麦を50%~90%含むパン
ヴァイツェンブロート 小麦90%以上

フランスのライ麦パンも、ドイツのようにライ麦の配合比率によって名前が変わります。
フランス語でセーグル(Seigle)はライ麦、メテイユ(Méteil)はライ麦と小麦の混合パンという意味。

▼フランスのライ麦パン
パン・ド・セーグル (ライ麦のパン)ライ麦60%以上
パン・ド・メテイユ ライ麦と小麦粉がおおよそ半々
パン・オ・セーグル (ライ麦入りのパン)ライ麦50%まで

ドイツやフランスでは配合割合でパンの名前がつけられるほか、パン屋を守るための政策や法律もあります。例えばフランスでは、冷凍生地を使わない、モルトやVC意外の添加物を加えない、など細かな規則があり、それらを守らなくては「Boulangerie」と名乗ることはできないのです。
なんとなく気になっていたお気に入りのパンの名前にも、意味や歴史が込められているのですね。

TEXT: Yumiko Sanda / PHOTO: Pain Kitchen

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